EXECUTIVE PRODUCERより。

今日で、ようやくhaL君一派との仕事が、第一関門を超えた感じだ。プロデューサーは大変だ。泳げないから。
合計2曲、9分50秒。MP単独作業を含めると、35時間もの膨大な時間をかけて、じっくりと作りました。Teifoo君の褒め言葉が、非常に嬉しかった。
今日の段階では、haL君の意見を最大限に反映したベーシック・マスターまで完了。今後は、VAL君*1と相談しながら、正式なミックスダウンと必要に応じてのマスタリングがオレの仕事。haL君一派は、ライヴに向けてのプリプロ/リハーサルを頑張るわけだ。つまりオレは仕事が終わっていき、彼らはどんどん忙しくなるのでは。


オレは、今回の仕事で、「何かを得た」というよりも、ただ働いた気がする。「メルティング・ポット」という一人のアーティスト/エンジニアとして提供出来る事を、惜しげも無く披露して、彼らに取捨選択をさせる。それが、オレがエンジニア/プロデューサーとしてやるべき任務だと思ったので。つまり、「労働者」あるいは「職人」だったわけだ。


そんななかで、haLもTeradaもTakanoも、「特に誰が〜」というわけでなく、それぞれがやるべき任務と創作をこなしたと思う。


haL君は、2kai Boothに思いっきり通わせてしまった。結果的に音楽的素養はまだしも、制作論としては非常に2kai的なやり方を取り、半ば「2kai流のサウンドメイクを教え込む」といった感じになってしまったが、彼には実りのあるレコーディングだったと思う。最初は、オレの指示する作業だけに没頭する感じに見えたが、昨日の最終作業に於いては積極的な音色設定やミックスへの意見出しが見られて、成長を感じさせた。「アレンジとは?」という疑問も晴れたんじゃないか。
Terada君が発案した「R&Bをやろう」という意見を聞いたとき、その経験が無いオレはかなりの不安を感じたけれど、彼のサンプリングしてきた音は、おそらくコンサートで重宝できるものでは。さすがR&B番長。
そしてTakano君は何といっても、ジャジーなサンプリング。あれは、幅広く音楽を聞き興味がある事を象徴しているのは確かだ。haL君によると、ビート打ち込みの為にサンプラーの練習もしたとか。有望株とは、彼のような人を指す。


彼ら3人、わがまま変人のプロデューサーを指名してしまったが為に、想定外な労働とかもあったろうが、ひとまず第一関門までは耐え抜いていたと思う。ただ、一つ苦言を言うなれば、まずTeradaとTakano両氏は、もっとオレに食って掛かってくるような、要望でも陳情でも批判でも発言して良かったのでは。「満足している」と発言するのも確かに主張ではあるものの、「ここが○○だったら、もっと良いのに」という考え方に切り替えれば、もっと彼らの意見が飛び交い、取り入れられる機会が増えたはずだ。今回の2曲は、haL君や.KOTA/Melting Potのやっている音楽よりも、むしろ彼らの音楽の趣向に近いものだったから、

  • こんなのダメだダメだ、全部作り直せ!!
  • ピアノ、もっと上手く弾いてくださいよ!!!
  • ミックスバランスが、全然ダメ!!
  • この楽器は余計ですよ。

とか言ってもらいたかった。制作というのは、自我の格闘技みたいなものだ。だから、気になる事は何でも言わないと、「試合」がスタートしない。彼らの来年以降に期待。

  • Melting Pot for 2kai Productions

*1:まぎらわしい。;^^